しめ縄とは、稲わらを綯って(なって)つくられた縄を張ることで、その区画が神聖な場所であることを示すものです。しめ縄を張ることで、不浄なものが外から入らないようにする役目も果たすといわれています。お正月以外でも、神社でよく見かけられますし、お祭りや能舞台などでも見かけます。
しめ飾りとは、しめ縄を本体として、それに神様に奉納するためのお飾りをつけたものです。特に正月に家々の入り口に掛けるしめ飾りは、門松と同様に各家々に訪れる年神様(としがみさま)をお迎えするにあたり、清浄な場所であることを示すためのものでした。年神様とは、豊作や家内の安全を守る神様でありご先祖様でもあります。
しめ縄には大きく分けて2つの形があります。
ひとつは、しめ縄の縄を横一本に用いた「ゴボウジメ」。野菜のゴボウのように長くて真っ直ぐであることからそのように呼ばれています。地方によってはゴンボなどと呼びます。関西地方で一般的です。
もうひとつは、しめ縄の縄を輪にして下から房が垂れているもので「タマカザリ」と呼びます。関東地方で多く玄関のしめ飾りにされています。
この他にも地方によって様々な形のものがあります。
しめ縄の中でもゴボウジメは、飾り方の向きがあります。
しめ縄の綯い初め(元の太い部分)と綯い終り(先の細い部分)があります。縄の綯い方のところでも触れたように、古来より、神様から見て左を「聖(神聖=上位)」、右を「俗(日常=下位)」とする考え方がありました。ゴボウジメを飾るときには神様から見て左側に(向かって右)が上位であることから、縄の綯い初めの太い方を向かって右にお飾りする地方が多いようです。
一方、出雲大社と伊勢神宮だけは逆にお飾りしています。この理由は諸説ありよくわかりませんが、出雲大社では古来より右を上位(一般とは逆)とするしきたりとなっているそうです。しめ縄の向きが逆なのもその理由によるとのことです。
しめ縄は稲わらを綯って作られます。荷作り用の縄(ロープ)も同様に稲わらから作られますが綯い方が違うようです。
神聖な場所を示すためのしめ縄は左綯いにすることが多かったのです。一方、昔は日常生活でものを縛る時には、右綯いの縄を使いました。
モトの部分から、左へ左へとねじれているのが左綯い。
しめ縄は左綯いが多い。 ※参考文献 1)より
参考文献
1)森須磨子著『しめかざり』福音館書店、2008